穀物価格上昇の背景

穀物価格の上昇の背景とは

昨年の夏以降、穀物など農産物の相場も大きく上昇した。

 

昨年6月初めから今年3月初めにかけての商品先物における主要穀物の価格上昇率は、大豆約50%、小麦約90%、トウモロコシは100%以上に及ぶ。高騰が続けば、日本経済、特に庶
民の生活にやはり打撃となる。

 

高騰の要因は、世界の景気回復に伴い需要も回復したこと、それぞれの主要生産地で天候不順が続発したこと、そしてそれによる需給逼迫を見越した投機資金の流入である。背景に、世界的な金融緩和によるカネ余りがあるのは、原油と同じだ。

 

穀物相場もまた、日本の大震災は値を戻しつつある。「相場を押し上げる大きなニュースがあったわけではなく、売られ過ぎから実需の買いが入った」ようだ。「商品相場は、中長期のトレンドで決まっていくというのが鉄則だ」とする。大きなトレンドに変化はないというのは、専門家の共通見解だ。基本は、中国を筆頭とする新興国の需要増である。要増に対して増産も進んではいるのだが、やや遅れ気味というのが現実である。農産物の増産には、時間がかかるためだ。その表れとして、世界の穀物在庫率は、1999年以降、低下傾向にある。中長期的には、相場は緩やかに上昇していく可能性が高い。

“上がりやすそうなもの”に資金集中で急騰のリスクも

ただし昨年の高騰は、先述のとおり天候不順の影響が大きかった。「これから夏場にかけて平年並みの収穫が見込まれれば、相場は下がっていく」はずだ。

 

逆にいえば、天候不順が起きた場合には再度高騰のリスクもある。新興国を中心に、世界的には原油や農産物の高騰によるインフレ懸念が高まっており、今後は各国が金融引き締め姿勢を強める可能性も高い。普通はこれは相場を下落させるのだが、芥甲王任研究員は「過去の例から見ると、引き締めモードに入ろうとする情勢では急騰するものも出てくる」と懸念する。投資家・投機家の、投資対象の収益性を見る目が厳しくなり、値上がりしやすそうなもの々に資金が集中するためだ。大豆、小麦、トウモロコシのいずれも、今後の作付け動向や生育状況次第で標的になりうる。

 

さらに先行きとは別に、これまでの高騰が今後影響してくる部分もある。企業の原材料調達が先物取引で行われていたり、あるいは企業間の契約更改が期末に行われたりするケースがあるためだ。

 

典型は、小麦だ。海外産の小麦は、政府が一括して調達し、業者に卸す制度になっている。この政府売り渡し価格は年2回、直近6ヵ月の価格を参照して決められる。2月までの高騰を反映して、4月から18%の値上げとなった。

 

小麦は幅広い食品に使われるだけに、今後多くの製品で値上げが予想される。逆に不景気で値上げができない場合は、企業の収益に影響するだろう。